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ユーザー獲得コスト高騰時代の新常識:D30継続率を2倍にする『非ゲームアプリ×オファーウォール型リワード広告』の可能性

本記事は、AdTech Todayに公開されたインタビュー記事 “Eric Jangor: Why Apps Now Embrace Rewarded Ads” をadjoeのブログ記事として再編集したものです。

エリック・ヤンゴール (Eric Jangor) は、LOVOOやMatchGroupといった業界大手の成長を20年以上にわたって牽引してきた、アドテク業界に精通したベテランです。現在はadjoeのManaging Directorとして、ブランド戦略、パフォーマンス、行動心理学が複雑に絡み合う現代のマーケティング領域において、組織を牽引する中心的な役割を担っています。

今回の対談で彼は、高度なユーザー獲得戦略と、ユーザーを定着させる『習慣化 (ロイヤリティ化)』の絶妙なバランスについて深く掘り下げています。そして、現代のアプリが激しい競争を生き抜くためには、単にインストールを促すだけでなく、ユーザーとの間に互いにメリットのある『真の価値交換』の関係を築くべきだと主張します。

Q:オファーウォール型リワード広告はいまだにゲームアプリのためのものという印象が強いです。なぜゲーム以外のアプリマーケターが、今注目すべきなのでしょうか?

なぜなら、アプリ市場全体が、ゲーム業界が長年直面してきたものと全く同じ課題にぶつかっているからです。新規ユーザー獲得は非常に高度化し、コストも高騰していますが、インストール後にユーザーに利用し続けてもらうことは、それ以上に困難です。

昨年、世界のアプリマーケターは新規ユーザー獲得に78億ドル (約1.2兆円以上) を費やしました。しかしその一方で、平均的なD30継続率はわずか6〜8%に留まっています。この凄まじいギャップが問題なのです。

「業界は、ユーザー獲得には非常に長けてきたが、その先はどうなるのでしょうか?」

多くの主流な広告出稿チャネルに比べ、オファーウォールは、このギャップに直接アプローチできます。単にアプリを発見してもらうだけでなく、より明確な価値交換を生み出すため、ユーザーはより長くアプリに滞留します。事実、私たちのプラットフォームに新しく加わった非ゲーム領域の広告主は、獲得したユーザーのD30継続率を従来の2倍に維持できることを証明しています。

Q:従来のチャネルとオファーウォール型リワード広告の根本的な違いは何ですか? これは単にゲーム業界のノウハウを横展開しているだけなのでしょうか?

違いはユーザーとのインタラクションの性質にあります。一般的な主流広告出稿チャネルが展開している広告フォーマットは、ユーザーの行動を中断させ、説得し、いかに素早く行動させるかという思想で設計されがちです。一方で、オファーウォールは「ユーザーの選択」を起点に構築されています。これによって、得られる関心の質や、ユーザーと築ける関係性の種類がガラリと変わるのです。

モバイルゲーム業界は、アプリ市場全体が気づく遥か前から、現代の成長を形作るメカニズムを洗練させてきました。例えば、デイリー報酬、連続ログイン、習慣化を促すリターンループなどです。これは、単にゲーム業界の成功ノウハウをそのまま横展開 (模倣) しているという意味ではありません。ロイヤリティや長期的なLTVが実際にどのように構築されるかという人間の心理に対して、報酬付与という手法がより洗練された形で適合している、と認めるべきなのです。

Q:オファーウォール型リワード広告で獲得されたユーザーとは実際にはどのような人たちなのでしょうか? やはりモバイルゲーマーだけなのではないですか?

それこそが大きな誤解です。オーディエンスは想像以上に多様化しています。

私たちの最新調査によると、オファーウォールで獲得されたユーザーは、日常的なアプリカテゴリー (いわゆる非ゲーム領域) を非常にアクティブに利用していることが分かっています。米国のサンプルデータでは、オファーウォール利用ユーザーの約79%がフィンテックアプリを利用し、76%が小売アプリ、49%が食料品プリを利用しています。さらに、42%がQSR (ファストフード等の飲食店) アプリ、33%がデリバリーアプリを利用しています。

彼らは決して一部のコアなゲーマーではありません。非ゲーム領域のマーケターが最も重視しているアプリカテゴリーを、日常的に使いこなしている『モバイルファーストなユーザー』そのものなのです。

ですから、「報酬を通じてゲームユーザー以外の層にアプローチできるか」と疑う必要はありません。明らかにアプローチ可能です。彼らはすでにあなたのビジネス領域に関連性があり、隣接するサービスにおいてアクティブなユーザーなのです。

Q:オファーウォール型リワード広告で獲得されたユーザーは、インストール後にどのような行動の違いを見せるのでしょうか?

優れたリワードシステムは、インストール数だけを重視して最適化されているわけではありません。報酬がエンゲージメント (アプリ内での行動や継続利用) と紐づいているため、ユーザーは単にインストールを完了させて離脱するのではなく、アプリ内の体験を進行させていくのです。この変化は非常に大きいです。

「オファーウォールは、新規ユーザー獲得を『キャンペーンの終わり』ではなく、『関係性の始まり』へと変えるのです」

これこそが、小売、フィンテック、モビリティ (移動・配車) といったカテゴリーにおいて、このフォーマットが急速に重要視されている理由です。これらのビジネスが必要としているのは、単なるダウンロード数ではなく、その後もアクティブであり続ける可能性が高いユーザーです。オファーウォールはそれを強力にバックアップします。なぜなら、その獲得経路自体が、明確な価値と引き換えに、時間をかけて使用し続け、マイルストーンを達成し、アプリを使い続ける意思のあるユーザーを自然と選別しているからです。

Q:マーケターは、オファーウォール型リワード広告と主流チャネルの関係をどのように捉えるべきでしょうか?

他のすべてを置き換える代替品としてではなく、異なる強みを持った独立したシステムとして捉えるべきです。

マーケターがこれまでとは違う質のユーザー関係性を構築したいとき、あるいは、さらなるインクリメンタリティ (純増効果) をもたらす新たな成長の源泉を求めているとき、オファーウォールは特に価値を発揮します。また、他のチャネルではリーチできない層にアプローチできるという強みもあります。私たちはグローバルにおける独自の配信面を極めて重視していますが、それこそが今、オファーウォールが注目されている大きな理由です。これは単なる広告フォーマットの議論ではなく、真のインクリメンタリティをいかに生み出すかという本質的な議論なのです。

Q:今後、オファーウォール型リワード広告はゲーム以外のアプリでも標準的なグロースソリューションになっていくと思いますか?

はい、そうなると確信しています。なぜなら、そうなるための条件はすでに揃っていて、あとは市場が追いつくだけの状態だからです。

実際に、非ゲーム領域の広告出稿額の伸びは、ゲーム領域の成長スピードを上回っています。マーケティングチームは現在、単なるボリュームだけでなく、ROASやLTVといった質の証明という強いプレッシャーにさらされています。そして多くのマーケターが、インストールから習慣化までの『ギャップ』こそが、成長を勝ち取るか失うかの分岐点であるという事実に気づき始めています。

「アプリ経済の次なる章は、新規ユーザー獲得とロイヤリティ (習慣化) を、より直接的に結びつけることです」

オファーウォールは、ユーザーの選択を尊重し、明確な価値交換を生み出す仕組みです。そのため、獲得とロイヤリティが直結するこれからのアプリ市場 (新フェーズ) に完璧に適応しています。ゲーム業界はこの手法が有効であることをすでに証明しました。次なる章は、この人間の行動心理に根ざした原則を、より広いアプリ市場全体に適用していくことなのです。